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田中 慎平について

間 泰宏   

 田中慎平とは、画家と詩人、二人の作家が組んだアーティストユニットの名前です。
 何故そんな名前が付いたかといえば、二人の作家が、作品に出てくる主人公でもある慎平君になりたいと思ったからです。つまり、誤解を恐れずに言えば、これは二人が慎平君になろうとするゲームなのです。
 では、何故二人はそんなゲームに興じるのか。もしかするとそんな質問は、公園で遊ぶ子供に、そこで遊ぶ理由を聞くようなものかもしれません。何といっても、ゲームは参加して楽しむためにあるのであって、何故ゲームをするのかということを考えるためにはおよそ不向きなものだからです。
 ところで、ゲームとはあらかじめ誰かの手によって用意されていたのではなく、元来は遊ぶ中で様々なルールや目的が決められていったはずです。例えば子供の頃、公園にみんなで持ち寄ったミニカーやスコップでその日の遊びが決まったことを思い出してみてください。 
 同様に、ぼくたち二人がある日それぞれに詩と絵という道具を持ち寄って、ちょっとした決まり事を元に始めたゲームがありました。そしてゲームの結果として、一人の少年や意味不明な生き物達が何気なく繰り広げる日常を描いた、ふわふわ島紀行とでも言うような作品ができあがってきたのです。
 ところで作品を見てくれた人達から、絵と詩はどちらが先に完成するのかとよく聞かれることがあります。それについては実はなんの決まりもなく、実際、二人で決めたテーマに沿って二人がそれぞれに絵と詩をを作るのであって、一人が先に完成したもう一人の作品をカンニングして作るというような順番はありません。
 そういうわけで、別々に作った絵と詩が、まるで美しい音楽のように一つにまとまっていく姿を見てもらいたいとぼくたちは思っています。それが、田中慎平というゲームの醍醐味です。

2001年